ピロリ菌って?

高い感染率
若年層では感染率が低く、年齢と共に徐々に感染率が上昇し、50~60代からほぼ一定になっています。 これは、現在、中・高年層の人たちが戦中戦後の衛生環境が悪い時代に、幼少期を過ごした為といわれています。
ピロリ菌の感染時期は、通常5歳以下の乳幼児期がほとんどで、成人になってからは、わずかです。
感染経路
ピロリ菌がどこから、どのように胃に入り込むかは、明らかではありません。
主として、ピロリ菌感染者の便・胃液・唾液・歯垢などから、この菌が検出されることがあり、これらを介して、何らかの形で経口的に感染するのではないかといわれています。
ピロリ菌と病気
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症が起こり、長期の感染により、萎縮性胃炎に進行します。 萎縮性胃炎は胃がんになる危険性が4~10倍に増加すると考えられています。 胃・十二指腸潰瘍・胃がんの患者さんの感染率は、90%以上です。
ピロリ菌は、慢性じんましん・鉄欠乏性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・動脈硬化など、消化管疾患以外の病気にも関与していることが知られており、各分野で研究が進んでいるところです。
ピロリ菌に感染していたら・・・
ピロリ菌に感染しているからといって、必ず除菌を行うということではありません。
高齢者・腎臓や肝臓に病気のある人・薬アレルギーがある人は、現在の治療を継続する方が良い場合があります。
除菌のメリット・デメリットを比較し、医師と相談することをお勧めします。
ピロリ菌の除菌療法について
現在は、胃酸分泌抑制剤1種と抗生物質2種を1週間服用するのが一般的です。 これでおよそ90%以上の除菌成功率となります。 また、除菌成功者の80~90%の人が潰瘍の再発がなくなります。
そのため、除菌成功後は維持療法(潰瘍治癒後、再発予防のため薬を飲みつづけること)が不要となります。
ピロリ菌除菌療法の保険適用
胃・十二指腸潰瘍の患者さんについては、2000年11月より除菌薬・検査薬が保険適用です。 2013年2月より、ピロリ菌検査でピロリ菌感染が確認され、内視鏡検査で慢性胃炎と診断された患者さんの除菌薬・検査薬も保険適用になりました。
(ただ、ピロリ菌に感染しているというだけでは、保険適用の対象になりません。)
