がんや疾患の豆知識

学会発表

当研究所で実施しています血液検査が在宅検診において有用な方法であることを日本臨床検査自動化学会 第34会大会(2002/9/11,12)にて発表しました。
 
発表の詳細は以下の通りです。(学会誌 演題17より)


検診受診率向上の方策の一つとして、受信者が医療機関に出向かなくても、在宅にて自己採決により乾燥濾紙血を作成し、検査機関へ送付、自分の健康チェックを行う在宅検診が注目されています。
そこでメスプ細胞検査研究所では、乾燥濾紙血マイクロプレートウェル内抽出による測定システムを用いて、
 

胃がん検診
  ・Hピロリ抗体
  ・ペプシノゲンⅠ
  ・ペプシノゲンⅡ
前立腺がん検診
  ・PSA

 
の測定を行いその有用性について、発表しました。
 
本システムは、 1項目の濾紙枚数が1~2枚と少量であり、同時再現性、特異性及び血清及び血漿検体測定値の相関試験において良好な結果を示しました。
またヘマトクリッド値を20~70%範囲内では、測定値に影響はありませんでした。
 
以上のように本システムは、在宅検診に有用な方法であり、より多くの方に手軽に受診していただけるすぐれた検診システムです。


同時再現性、特異性及び血清及び血漿検体測定値の相関試験結果

同時再現性試験

2濃度の同一検体を8回同時に測定した結果、HpのCVは2.54~4.58%、PGⅠは1.25~2.55%、PGⅡは3.35~4.81%、 PSAは3.86~7.97%であった。
 

特異性試験

同一被験者の血清及び血漿値に対してHpは全て同判定を示した。同一被験者の血清及び血漿値を基準値とした場合のPGⅠ、PGⅡ、PSAの結果は各々、97.6~102.0%、95.2~105.9%、91.4~110.1%の範囲内であった。
 

血清及び血漿検体との相関性試験

•Hpは血清との相関係数0.995、判定一致率98.8%、血漿とは相関係数0.995、判定一致率100%。
•PGⅠは血清との相関係数0.992、血漿とは0.996.PGⅡは血清との相関係数0.997、血漿とは0.994。
•Ⅰ/Ⅱ比は血清との相関係数0.997、血漿とは0.932。 血清との判定一致率は93.7%、血漿とは90.5%。
•PSAは血清との相関係数0.996、血漿とは0.997、血清との判定一致率は100%、血漿との判定一致率は100%であった。
 

ヘマトクリット値の影響

ヘマトクリット値20~70%の範囲内で濾紙値測定への影響を検討した結果、40%を基準とした場合Hp、PGⅠ、PGⅡ、PSAともに±10%の変動幅であった。